【人工知能と人事情報システム】その4
[ 掲載日 ]2016/06/12
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コンサルタント bdchp
- 2)優秀(タレント)人材の発見とリテンション(引き止め)
- 人工知能の活用を社内に向けて行うとき、やはり規模が大きい会社ほど活躍の余地が大きいといわなければならないでしょう。 人材の海が大きければ大きいほど、人手で行うのに限界が見えるからで、そこは容易に想像がつくのではないでしょうか。
- 優秀な人材は、よほど出来の悪い上司でなければ、或いは悪意を持っている上司でなければ、目に付いて来るはずですが、 「発見」という作業は普通の目ではなくまた特にスケールを別に定めてお眼鏡に叶う人材がいるかどうかを問うものです。 従って、結構複雑な条件や可能性を秘めた情報をサーチするのは、人工知能がよろしいということになります。
- 優秀な人材の発見では、まず一般的な方法としては過去の評価をみることになります。 しかしその評価の軸は、これから行おうしている未知のビジネス領域や彼(または彼女)の与えられた環境以外の事象をみていません。 つまりやってもいないことを評価することは困難な訳です。また、すでに彼(または彼女)が行動していても誰も評価をしていないとか、 または既に業績を残しているが、人事管理システムには記録されていないとかを知ることが必要になるのです。
- こう考えると、既存の人事システムの情報では不十分だと理解できると思います。 人工知能が探る人材の海は、人事システムの人材データだけではないのです。であれば、こういった情報がどこにあるのか、 或いは会社は形式知(暗黙知の反対)をどれだけデータ化しているかが鍵となります。 SNSが次世代のキーになるというのはこういった事情によるものです。
- ここでいうSNSは、皆さんがやっているフェイスブックやツィッターといった公のもではなく、 会社内にクローズドのシステムと考えた方が分かり易いでしょうか。公のものはプライベートが主で、 仕事という意味では会社内部のSNSが適当です。ここでも規模の大きい会社での利用で効果が発揮されます。 どういう人材をどういう方法で発見するのかについての情報は簡単には手に入りません。 これこそが重要なキーで、ここに放り込む定義が問題になります。
- 人材が発見できれば次に問題となるのは、彼らを陰に陽に特別に扱うことが必要になります。 勿論、特別のグループに入れて管理・指導・育成していくのは大事ですが、一番はじめに行うことは、まず「逃げられない」ことです。 外資系企業では「リテンション」と呼んでいますが、彼らを引き止めることは大事な人事施策です。 特に一番響くのは「採用費用」です。ひとたび辞められてしまうと、同じ人材を捜す労力、紹介会社に払う費用(年収の30~35%)、 初期教育費用など、ばかになりません。戦力的に落ち込むことは必至です。
- あまり良い例ではありませんが、前の大戦のとき、戦闘機などのパイロットを大事に育て運用した米国と、 ベテランパイロットを酷使して、しまいには飛行時間の浅い素人パイロットばかりになり、多くの人材を失った日本との差を考えてしまいます。 ベテランパイロットは育成するしか方法がなく、それも時間がかかるという事実を忘れると、手詰まりになってしまうということです。