【人工知能と人事情報システム】その7
[ 掲載日 ]2016/07/10
[ 掲載日 ]
コンサルタント bdchp
- 5)評価
- 管理職になった人なら、人事考課をどう行うかの研修を受けているものと思います。 この「部下を評価する」ということが苦手だという人も多いのですが、これが好きだという人も少ないのではないでしょうか。 「人を評価する」ということがどういう結果を導くか、人間関係にどう影響が出るか等々を考えると夜も寝られないという気の弱い人もいますが、 評価の目的と必要性を考えれば、粛々とやる以外に方法はありません。
- テクニカル的に陥りやすいエラーを防ぐために研修で強化するというのが、考課研修の目的ですが、 人工知能はこのヒューマンエラーの起こりやすい部分をカバーするのではないと期待する声が多いのです。 人の好き嫌いやデータに現れない人間関係の機微など、人間関係が濃い風土の企業では、難しい評価を公平公正に行う機能に期待しているのです。
- 「俺はコンピュータに評価されているのか」とか「ロボットに人事考課されるのは堪えられない」などと嘆くのは少し早い気がします。 どの企業の評価制度も、たった一人の上司の評価だけですべてが決まるということは少なくて、数次に渡る評価者の存在や、 被評価者のグループをまとめた上で調整を行うなどのプロセスをもっています。 人工知能を利用するにしても、それがすべてであったり、全知全能のような扱いをすることはあり得ません。
- ただ、評価の軸が社員の将来性や能力開発といった前向きの目的の場合は、多くの情報を扱い、 事例等を参考にしながら評価案を作っていくといった事は、複雑さが増すにつれてAIが得意になっていくものと考えられています。 また、この場合は結論だけが大事なのではなく、どうしてそういう評価案となったのかを説明する情報がなければなりません。 その意味では、理由は分からないが世間がそうだからとか、そういう事例が多いからそういう回答になったという無責任AIでは許されないでしょう。
- 今でも被評価者に対しての説明責任で辟易としている管理職が多いなか、説明できないような評価案を出すAIでは期待に添えない状況だと思います。 もう少し時間がかかるような気がします。